「集中スペース」で業務効率と従業員の満足度アップ

投稿日:2025.12.04  更新日:2025.12.04

オフィスは「集中できない」場所になってしまった!?

オフィスで個人作業に集中したいのに、「話しかけられて気が散ってしまう…」「周囲の会話が気になって集中できない…」と感じたことはありませんか?

アメリカのプロジェクト管理・コミュニケーションプラットフォームとして有名なBasecampのCEOであるジェイソン・フリードも、『「仕事に集中したいときに行きたい場所は?」という問いに「オフィス」と答える人はほぼ0である』と話しています。
自宅では仕事環境が整っていなかったり、カフェではさらに周囲が気になって集中できない。コワーキングスペースは有料だし…どうしたらいいの!?と悩む従業員の方も多いかもしれません。こうした背景から、オフィスに「集中スペース」を導入する企業が増えています。

集中スペースの整備は、従業員のパフォーマンス向上やWell-being(ウェルビーイング)に直結します。従業員が「オフィスに出社すれば業務効率が上がる」「オフィスにいるとストレスなく、イキイキと働ける」といったポジティブな体験を積み重なることで、出社意欲が高まり、結果として従業員のエンゲージメント向上にもつながります。集中環境を整備することは、経営者が抱える「出社率・エンゲージメントの向上」という課題の解決にも寄与します。 こうした環境づくりは、採用活動において企業の魅力を高める要素となり、結果として組織全体の活性化にもつながります。

今回は、集中スペースが注目されている背景や、導入のポイント・事例についてご紹介します。

オフィスに集中スペースを導入する企業が増えている背景

オフィスに集中スペースを導入する企業が増えてきた背景を見てみましょう。

 

コミュニケーション重視の弊害

コロナ禍を経て、オフィスへの出社が再び日常となったことで、多くの企業が従業員同士のつながりを再構築しようと試みました。たとえば、カフェスペースやフリースペースなど、交流が生まれる場を積極的に設け、従業員同士のコミュニケーションを活性化を図るオフィスレイアウトが主流となりました。

しかし、常に会話が飛び交う環境は、集中を必要とする業務を行う際は大きな障害となる可能性もあります。話し声や雑音に気を取られたり、周囲から頻繁に声をかけられることで、業務効率が低下してしまう従業員も少なくありません。また、周囲の視線や動きが視界に入ることで集中力が削がれるというケースもあります。

このように、整備されたはずのオフィス空間が、かえって従業員の業務パフォーマンスを妨げてしまうことがあるのです。そのため、コミュニケーションを促進しつつも、個人が安心して集中できるスペースを切り分けて設計することが大切です。

 

求職者にとっても魅力的な「集中できる環境」

近年の採用市場では、給与や福利厚生に加え「働く環境」も企業選びの大きな判断基準となっています。特にオフィスにおける『集中できる環境』は、求職者にとって大きな魅力です。

オフィスワーカーを対象とした働き方に関するアンケート調査によると、「オフィスで仕事をする意義や魅力」の第1位が「集中できる環境」であるという結果が出ています。実に57.3%の回答者が、業務に集中できる環境を求めているということが明らかになりました。

出典:コロナ禍長期化における働き方意識調査2022/WeWork

 

さらに、オフィスワーカーは平均で3分に1度集中が途切れ、再び集中状態に戻るまでに20分以上かかるといった研究結果もあります。

集中スペースの整備は、従業員の生産性を高めるだけでなく、働きやすさの向上にもつながります。結果として、企業のブランディングや採用力を高める効果も期待できます。

集中スペースを導入する際のポイント

集中スペースを設けることは、従業員のパフォーマンスや満足度を高める効果的な手段です。ただし、やみくもに席を区切るだけでは十分な効果は得られません。働く人のさまざまなニーズに応えつつ、快適で使いやすい空間を整えるためには、導入時の工夫や設計上のポイントを押さえる必要があります。

ここでは、集中スペースを導入する際のポイントについて解説します。

 

集中スペース導入の3つのレベル

集中スペースの導入を検討する際、3つのレベルがあります。いきなり集中スペースを個別で分けることは難しい場合もあるので、段階的に取り組むことがおすすめです。

 

Level1:スペースを設ける

まず取り組みやすいのが、集中に適した小さなスペースを確保することです。たとえば、窓際や壁際に簡易ブースを設置し、音や視線を遮るだけでも効果があります。大がかりな工事を行わなくても導入できるため、初期コストを抑えつつ従業員に「集中の場」を提供できる点が魅力です。

 

Level2:ゾーニングで分ける

次のステップとして有効なのが、オフィスを機能ごとにゾーニングする方法です。中央にはコミュニケーションを取りやすいスペースを配置し、外側に行くほど静かな環境にするなど、音や人の動きにメリハリをつけます。結果として、自然に集中と交流のバランスが取れるオフィスレイアウトを実現できます。

 

Level3:個別空間として分ける

さらに集中を高める空間づくりとしては、完全に独立した集中ブースや小部屋を設置する方法があります。テレキューブなどの専用ユニットを導入すれば、限られたスペースでも高い集中環境を実現可能です。個別空間を整えることで、従業員は業務内容に合わせて最適な環境を選べるようになり、働きやすさが格段に向上します。

 

エルゴノミクスへの配慮

集中スペースを設ける際には、ただ静かな環境を整えるだけでなく、身体的な負担を減らす工夫も欠かせません。長時間のデスクワークも、座り心地の悪いイスや高さが合わない机を使っていると姿勢の崩れや腰痛、首や肩の疲労に繋がり集中力を妨げる要因にもなりえます。

そのため、エルゴノミクスに基づいた椅子やデスクを導入することが重要です。たとえば、シートの角度が調整可能なチェアやモニターアーム、高さを自由に変えてスタンディングワークをすることもできる電動式昇降デスクを取り入れることで、従業員は自身の体格や作業内容に合わせて最適な姿勢を保てます。

さらに、ラップトップスタンドなどを会社の備品として用意することで、手軽に目線の高さを合わせることができ、疲労の軽減につながるでしょう。快適な姿勢で業務を行える環境を企業側が積極的に整えることは、集中力の維持はもちろん、従業員の健康やWell-beingの向上にも直結するといえるでしょう。

 

一人ひとりの集中の「仕方」に合わせた家具・什器を配置する

業務内容や個々の集中スタイルによって、集中の「仕方」は大きく異なります。完全に静かな空間でこそ力を発揮できる人もいれば、ある程度の雑音や周囲の気配があった方が、安心して作業に取り組める人もいます。オフィスでは、さまざまなスタイルの家具や什器を用意し、従業員が自分に合った環境を選択できるようにすることが重要です。

 

1.完全個室

完全個室タイプの集中ブースは、壁に囲まれたフルクローズ型の構造で、外部からの視線や音をほとんど遮断できます。他人の存在や視線ストレスに影響されにくく、安心して業務に没頭できるのが特長です。

1人用のワークブースに加え、1on1や面談に適した2人用、さらには会議や来社対応にも利用できる多人数用までバリエーションがあり、用途に応じて柔軟に選択できる点も魅力でしょう。

 

2.半個室

半個室型の集中スペースは、パネルやパーティションによって周囲を適度に仕切ることで、視線を遮りながらも完全に閉ざさない構造です。こうした環境は、雑音や周囲の動きによる影響を軽減しつつ、オープンさを保てるため、多様な業務スタイルに適しています。

パネルの高さや形状を工夫することで、視線ストレスを減らしながらも適度な交流ができる、バランスの取れた空間づくりが可能です。

 

3.窓際スペース

窓際に設けられたオープン席は、人の気配をある程度感じながらも、前方の人の動きや視線を避けられる配置であるため、仕切りがなくても集中しやすい環境を実現できます。自然光が入ることによってリフレッシュ効果も期待でき、気分を切り替えながら効率的に作業を進めたい従業員にとって魅力的なスペースといえるでしょう。

このように、多様な環境を用意することで、従業員は自分の業務や気分に応じて最適な作業環境を選択できるようになり、生産性と満足度の向上につながります。

 

快適な環境づくり

集中スペースを整備する際には、家具やレイアウトだけでなくそのほかの環境要素にも十分配慮する必要があります。音・光・緑といった五感に関わる要素を調整することで、従業員の集中度やモチベーションは大きく変化するでしょう。

たとえば、完全な無音ではかえって落ち着かない場合もあるため、川のせせらぎや環境音楽をさりげなく流すと没入感が高まります。また、照明は作業モードと休憩モードで切り替えができるよう、高照度と低照度を組み合わせた設計が効果的です。

さらに、バイオフィリックデザインを取り入れることで自然を感じられる空間をつくれば、ストレス軽減や生産性向上につながります。快適な環境を整えることは、ただ作業効率を高めるだけでなく、従業員のWell-beingにも直結する重要な要素といえるでしょう。

▽バイオフィリックデザインの導入について、もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

オフィスの緑化=バイオフィリックデザイン とは?|清和ビジネス

▽詳しい資料もダウンロードいただけます。

パブリックデザインオフィス事例集|資料ダウンロード|清和ビジネス

集中スペースの導入事例

アステリア株式会社|個室空間で業務にメリハリを

アステリア株式会社は創業以来、システム、ヒト、モノ、そしてオモイを未来へ「つなぐ」企業として、そして緑を愛するグリーンな会社として持続的な社会づくりに貢献しています。新たなオフィスのコンセプトは「コンパクトリゾート」「開放感、非日常空間、都会のオアシス」「話題になり自慢したい場所。行きたくなる場所」です。

それぞれのワークスタイルに合うような什器とツールが配置され、開放感あふれるオフィス環境となりました。

集中スペースとして個室空間を設置したことで、開放感あふれる空間とのメリハリがつき、業務に集中することができます。

>>アステリア株式会社様の事例を詳しく見る

 

日本通信ネットワーク株式会社|半個室のワークエリアを導入

日本通信ネットワーク株式会社は、NTTグループの関連会社として1985年の創業から、法人向けICTソリューションの提供に取り組んでいます。ICT環境の設計・構築・運用までワンストップの提供を強みとし、多数の商材を自由に組み合わせることで、要望に応じた最適なソリューション提案を行っている企業です。

執務エリアは従業員の働きやすさを考慮し、ABW(Activity Based Working=仕事内容や気分、業務の目的に応じて働く場所を自由に選ぶ働き方)を基本としたさまざまなワークエリアを配置しました。

集中スペースとしては半個室を設置し、周囲の視線や音を程よく遮りつつ、開放感も保てる環境になっています。

>>日本通信ネットワーク株式会社様の事例を詳しく見る

 

株式会社有電社|窓際スペースで気分の切り替えも

株式会社有電社は、官公庁や鉄道、空港、道路の事業者向けに、防災・減災や社会インフラを支えるための電気・情報通信設備などの企画・販売から工事・メンテナンスおよびリニューアルの事業を手掛ける技術商社です。

眺望の良いロケーションを活かし、見通しのよいワークスペースを設計しました。開放感があり、従業員同士の視覚的なコミュニケーションに作用するよう工夫しています。

窓際スペースは、集中とリラックスの両方の局面を兼ね備え、気分を切り替えて効率的に働ける場となっています。

>>株式会社有電社様の事例を詳しく見る

まとめ

集中スペースの整備は従業員の業務効率やWell-beingを高めるだけでなく、採用活動における企業の魅力向上にも直結します。完全個室・半個室・窓際スペースといった多様な環境を整えることで、それぞれの働き方に応じた最適な選択肢を提供できるでしょう。

また、エルゴノミクスや照明、音環境、バイオフィリックデザインなどを組み合わせれば、快適さと集中力を両立した空間を実現できます。事例からもわかるように、導入方法は企業ごとに異なりますが、共通しているのは「働く人にとって居心地の良い環境」を追求していることです。

これからのオフィスづくりでは、集中スペースの導入が欠かせない要素となるでしょう。ぜひ清和ビジネスにご相談ください。

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