フリーアドレスとは?オフィスに導入するメリットやデメリット、導入方法を解説

投稿日:2025.05.16  更新日:2026.06.04

導入事例:Chubb損害保険株式会社

企業はフリーアドレスを今からでも導入するべきなのか?

フリーアドレスは、場所を自由に選べる柔軟な働き方を実現する一方で、運用次第では従業員のストレスを招く懸念もあります。

本記事では、フリーアドレスの定義や導入が進む背景、経営者・従業員双方のメリット・デメリットを詳しく解説します。
スムーズな導入のポイントも紹介しますので、オフィス改革の参考にしてください。

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フリーアドレスは諸刃の剣?

突然ですが、貴社ではフリーアドレスを導入されていますか?
フリーアドレスとは、従業員がオフィス内で固定の席を持たず、自由に好きな席を選んで働くことができるワークスタイルのことです。

コロナ禍以降従業員の出社率アップに伴いオフィスが手狭になってきたという背景もあり、「スペースの有効活用」や「他部門メンバーとのコミュニケーションの活性化」などを目的として大手企業を中心にフリーアドレスを導入する企業が増えてきています。

一方で、そのフリーアドレスが従業員のストレスとなり「固定席時代の方が仕事がしやすかった」「経営者はオシャレなオフィスにしてフリーアドレスを導入したら従業員が喜ぶと思っているみたいだが、大きな勘違いだ」などといった不満を口にする従業員がいることも。

最近では、某大手企業がフリーアドレスを廃止して固定席に戻すということを発表して話題になりましたが、多くの大手企業ではオフィス移転などを機に、フリーアドレスの導入を現在もなお進めているのが実態です。

さまざまなニュースや成功事例に触れ、フリーアドレスの導入を検討する企業が多いですが、一概にフリーアドレスの良し悪しにかかわらず、それぞれの会社の働き方に合わせることが重要なのでしょうね。

フリーアドレスとは?

それではここで、改めて固定席とフリーアドレスの違いを整理してみましょう。

  • 固定席
    従業員一人ひとりに固定の席が決められていて、毎日そこで業務をする
  • フリーアドレス
    従業員が個々の固定席を持たずに、好きな席を選んで業務をすることができる

よく「フリーアドレスとABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)との違いは?」と聞かれることがありますが、ABWは「業務内容や気分に合わせて、オフィス外でも執務場所を選べるワークスタイル」を指し、フリーアドレスは「オフィス内で執務場所を選べるワークスタイル」を指すという点に違いがあると言えます。

最近では、従来通り従業員が固定席を持ちつつ、自宅やコワーキングスペースなど、外でも仕事ができる環境を整えている企業も出てきていますが、この動きは自社ビルを保有していたり、執務スペースや資金に余裕があったりする企業しか実現できず、坪単価が高い東京都内の主要ビル街などでは実現が難しいでしょう。

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フリーアドレスの導入が進む背景とは?

フリーアドレスを導入する企業が増えている背景として、環境の変化と働き方の変化が挙げられます。ここでは、それぞれについて解説します。

ICTの変化

ICTの進化による働く環境の変化が、フリーアドレスの導入が進む背景の一つです。かつては、自席にデスクトップパソコンを置き、紙の書類をみながら仕事をするスタイルが一般的でした。無線LANやモバイルデバイスの普及により、遠隔地でもスムーズに通信できる環境が整いました。これにより、固定席の必要性が薄くなり、フリーアドレスの需要が高まっています。

多様な働き方への進化

コロナ禍以降、働き方は大きく変化しました。テレワークを導入する企業も増え、オフィス以外で仕事をする働き方も広まりつつあります。多様な働き方に対応するため、オフィスの座席をフリーアドレスに変更したり、ABWやフレックスタイム制などを取り入れたりする企業も増えています。

フリーアドレスの経営者側のメリットとは?

では次に、経営者側・従業員側のそれぞれの視点でフリーアドレスにするメリットを見てみましょう。

1.スペースの効率化によるコスト削減

固定席をなくすことで、オフィススペースをより効率的に使うことが可能になります。また、必要なデスクや設備を最小限に抑えることで、設備投資のコストを大幅に削減できます。従来は各部署で1台ずつ使っていた複合機がフリーアドレスによって不要となり、台数を減らすことができるなど、かなり具体的なコストダウンにつながります。

2.コミュニケーションの促進によるイノベーションの創出

新しいアイデアやプロジェクトが生まれるためには、異なる視点や知識を持つ人々が出会い、コミュニケーションをとることが重要です。フリーアドレスは、他部署のメンバーなどとの偶然の出会いや共創を促進し、イノベーションを生み出す土壌を作ります。

3.従業員の柔軟な働き方のサポートと満足度向上

フリーアドレスやABWは、従業員が自分自身で働き方を選べるワークスタイルです。フレキシブルな勤務形態が求められる現代において、「すべてを会社に縛られない働き方」ができるという点で従業員の満足度が上がるでしょう。また、「従業員が楽しそうにイキイキと働いている姿」を入社希望者にアピールすることができるため、優秀な人材の採用にもつながることが期待できます。

4.Well-being(ウェルビーイング)

従業員が身体の健康に加え、社内でのコミュニケーションや心の健康を維持し、幸福度を実感しながら働くことは、生産性を高めるだけでなく組織の成長に大きな影響を与えると言われています。

5.働く意欲の高まりと生産性向上

従業員が業務内容や働き方に合わせて、柔軟に働く場所を選べるため、主体性が生まれ働く意欲や満足度が高まります。その結果、個々の生産性向上が期待できます。

フリーアドレスの従業員側のメリットとは?

経営者側と逆サイドである従業員側のメリットも見てみましょう。

1.自分の意思で働く場所を選ぶことができる

その日の気分や自分の仕事のスタイルに応じて働く場所を選べるできるため、「大型モニターが設置してある机で仕事をしたい」「景色を眺めながら仕事をしたい」「自分にあったイスを使ってリラックスして仕事をしたい」など、自由度の高い働き方を実現できます。

2.嫌いな場所で働かなくて良い

空調が効きすぎていて寒い(もしくは暑い)場所で仕事をしなくて済む、会議室から漏れてくる声や音に耐えながら仕事をしなくて済むようになる、などのいったメリットもあります。「場所だけでなく苦手な人の近くで仕事をしなくて済む」こともフリーアドレスのメリットだという声も、よく従業員から聞かれます。

3.他の従業員と仲良くなれる

完全固定席で部署ごとにまとまって座っている環境では、他部署の方とコミュニケーションを取る機会は極端に少なくなりがちです。
一方で、フリーアドレスの場合は、偶然横に座った従業員の資料を見たり電話で話す内容を聞いたりすることがきっかけで相手に興味を持ち、コミュニケーションを取り始めることが多くあります。もちろん、オフィスのレイアウト自体もフリーアドレスも適した形にリニューアルすることが望ましいですが、フリーアドレス化によって発生するコミュニケーションにより新しい視点や知識が共有され、組織全体の創造性や生産性が向上します。

フリーアドレスのデメリットとは?

このようにフリーアドレスのメリットは多数ありますが、メリットがある一方で意外な落とし穴も存在します。ここでは、フリーアドレスを採用する際に知っておきたいデメリットを8つ解説します。

1.席の確保が難しい

フリーアドレスでは決まった席がないため、出社時に希望の場所を確保できないことがあります。特に人気の窓際や静かなエリアは早い者勝ちとなり、朝から席探しにストレスを感じる従業員も少なくありません。

2.チーム内のコミュニケーションが減る可能性

固定席がないことで、チームメンバーと自然に顔を合わせる機会が減る場合があります。見える場所に部下がいないとマネジメントしづらいと考えるマネージャーも一定数存在し、チームワークに影響を及ぼすことも考えられます。

3.私物管理が面倒になる

仕事をするたびに自分の荷物や書類、文具を個人ロッカーなどから移動する必要があるため、その準備が手間に感じられます。毎日同じ環境で効率的に仕事を進めたい人にとっては不便さが増すかもしれません。

4.集中力が低下する恐れ

他部署の従業員とコミュニケーションが取れるというメリットの反対にはなりますが、周囲の環境が日によって変わるため、騒音や人の動きが気になって集中できない場面もあるでしょう。静かに作業したい人にとっては、フリーアドレスの柔軟性が逆にマイナスに働くことがあります。

5.全従業員が賛成とは限らない

フリーアドレスの導入に対しては、そのデメリットに懸念を抱く従業員も少なくありません。実際、「フリーアドレスよりも固定席のほうが働きやすいと、従業員から反対の声が挙がった」という理由で、ご相談をいただくケースもあります。

6.部下の管理が難しい

フリーアドレスは、日によって従業員の座席が変わるため、誰がどこにいるのか明確ではありません。そのため、上司は部下の勤務態度や業務過程が見えにくくなり、部下の勤怠管理や業務進捗の確認が困難になります。その結果、公正な評価や適切な教育指導に支障をきたすことも考えられます。

7.導入目的がわかりにくい

フリーアドレスの導入目的が曖昧で従業員に浸透していないと、同意が得られないばかりか反発が起こる可能性もあります。フリーアドレスの形骸化を防ぎ、社内に制度を浸透させるためには、導入目的を明確にし、従業員全体に周知させなければなりません。

8.席が固定化する恐れがある

常にオフィスで業務を行う管理部門は、フリーアドレスを導入しても席の固定化が起こりやすくなります。また、暗黙のルールや設置機器の都合により、席が固定化されることも考えられます。

フリーアドレスをスムーズに導入するためのポイントとやるべきこと

フリーアドレスを導入すればオフィスの柔軟性が高まりますが、「これまでの働き方と違うワークスタイル」を社内に導入しようとすると、抵抗を示す従業員がでてきたり、頭では良いと理解していても実際に導入が始まると混乱してしまったりするケースもあります。

以下に、スムーズなフリーアドレス導入のために気を付けるべき点と具体的なやるべきことをまとめました。

1.フリーアドレス導入の意義やメリットについて全従業員にきちんと説明する

目的が不明だと抵抗感が生まれやすくなります。なぜフリーアドレスを導入するのか、また導入のメリットはどのような点なのかを、しっかりと全従業員に説明する必要があります。
できれば最初に部門長か選抜メンバーに説明をして、次にその内容を自部門メンバーに展開してもらうとよいでしょう。

2.従業員がどこでも働ける環境をつくる

「はい、今日から全社でフリーアドレスを導入します」と急に発表をして従わせるのではなく、ABWやテレワーク、ペーパーレスなど、従業員がどこでも働ける環境をしっかりと整えた上でフリーアドレスを導入しましょう。特に机上に書類や資料を山積みにしている従業員が多い企業では、ペーパーレスをある程度推進した上でフリーアドレスを導入しないと、不満が噴出してしまいます。

3.フリーアドレスのワークルールとガイドラインを明確に設定する

席の取り合いや私物の放置などの混乱を防ぐことも大事です。
そのためには、席の利用時間の上限や退席時の片付けルールを定め、全従業員に周知を徹底しておきましょう。例えば、「このワークブースの連続使用は2時間まで」「使用後は書類や私物を必ず個人ロッカーに戻す」といったルールを設けるとよいでしょう。また、「このスペースは予約無しで利用してOK」「ここは飲食OK」「ここはオンライン会議OKだが、イヤホン利用必須」など、ルールを明示しておくとわかりやすくなります。

4.十分な設備とスペースを確保する

従業員数に対して席や設備が不足すると不満が噴出してしまいます。
そうならないためにも、出社率を予測し、席数を1.2〜1.5倍程度余裕を持たせることや、Wi-Fiや電源、モニターなどのインフラを充実させ、どこでも快適に作業ができる環境を整えることが必要です。

5.コミュニケーションを補う仕組みを作る

フリーアドレスを導入してチーム間の交流が減ると連携が弱まることに繋がるため、注意が必要です。
オンラインコミュニケーションツール(Slackやチャットワークなど)を活用したり、対面での雑談の場としてカフェスペースやミーティングエリアを設けたりすることも効果的です。

6.私物管理を効率化する支援を行う

荷物の持ち運びが負担になると生産性の低下につながります。
個人用ロッカーやキャビネットを用意し、必要な書類や道具をデジタル化してクラウドで管理できるようにしておきましょう。ペーパーレス化を推進するとさらに便利になります。

7.ICT環境を整備する

無線LANの完備やノートパソコンやタブレットの導入など、ICT環境を整備しましょう。クラウドサービスやチャットツール、スケジューラーなどを活用し、フレキシブルなコミュニケーションを整えることも必須です。部下や同僚の状況をスムーズに把握するために、素早く情報共有できる仕組みを作りましょう。

8.スモールスタートで始める

フリーアドレスは、最初から社内全体でスタートさせる必要はありません。まずは一部の部署やフロアで試験的に導入し、小さく進めていくことが大切です。課題を洗い出し、改善を進めながら徐々にフリーアドレスの範囲を広げることで、失敗のリスクを減らしながら、抵抗感なくフリーアドレスの定着を図れます。

フリーアドレスの導入方法と手順

フリーアドレスは、目的を明確にした上で、必要な席数やツールなどを決め、段階を踏んで社内に浸透させることが大切です。ここでは、フリーアドレスの導入方法と手順を解説します。

1.導入目的を決める

まず、フリーアドレスの導入目的と期待するゴールを明確にし、社内に浸透させておくことが大切です。社内アンケートや1on1ミーティングを実施し、従業員の声を取り入れることも効果的です。

2.対象者を決める

職種によっては、固定席の方が仕事がはかどる場合もあります。例えば、紙の書類や現物を扱うことが多い、常時窓口対応を行うといった業務が多い場合、席を頻繁に移動することがかえって負担になりかねません。現場の状況も加味した上で、フリーアドレスの適応範囲を明確にすることが大切です。

フリーアドレスの導入に適した職種例として、営業職やマーケティング部署などが挙げられます。

3.座席設定数と運用ルールを決める

フリーアドレスの対象者を決めたら、座席設定率を検討します。座席検討率は、オフィスに設置する座席数の割合です。現場の状況を加味して、「多人数利用」「個人利用」「長時間利用」「短時間利用」に分けて、座席の比率を決定しましょう。あわせて、部署ごとの業務内容やプロジェクトの状況に合わせて、運用ルールを決めます。

運用ルールは、フリーアドレスの形骸化を防ぐためにも、総務担当者だけでなく、従業員も参加する形で仕組みを作ることが大切です。従業員から反対意見が多いルールは改訂や見直しを繰り返しながら、自社に適した運用ルールを作成しましょう。

4.デスクやツールを検討する

オフィス構築後の運用も見据えて、デスクやツールを検討しましょう。あわせて、座席管理システムやチャットツール、Web会議システムなど、必要なツールの導入も検討します

5.社内に浸透させる

フリーアドレスの運用ルールや使い方などを明記したマニュアルを作成し、社内にフリーアドレスを浸透させましょう。マニュアルを配布するだけでなく、従業員に対し、説明会を実施するのも有効な手段です。これにより、働き方に対する興味関心が高まり、スムーズなルール浸透につながります。

まとめ:フリーアドレスを導入してオフィス改革を進めましょう

フリーアドレスを成功させるには、経営者側やオフィス担当者のささやかな心遣いと準備が欠かせません。わかりやすいルールを整えたり、快適な設備を揃えたり、従業員が自然と交流できる工夫をプラスすることなどが求められます。

コート類をかけておくスペースや休憩室の設置、出社していない従業員宛てに届いた郵送物の保管ルール決定など、フリーアドレスを導入すると「こういう点まで配慮して設備やルールを作ってあげれば、従業員は喜ぶかもな」という内容が次から次へと頭に浮かぶでしょう。

「こんな設備やルールがほしい」ということを従業員に聞きながら柔軟に調整することも大切です。そして、オフィス改革のゴールを従業員と共有できれば、きっとワクワクしながら進んでいけるでしょう。

清和ビジネスでは、これまでに創業から60年以上の知見・ノウハウをいかし、多くの企業のフリーアドレス化のお手伝いをしてきました。清和ビジネスは、WELL認証GOLDを獲得しており、Well-being・健康経営の観点を取り入れた提案も多く行っております。ICTによる環境づくりから運用体制の構築までトータルで対応可能です。

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